まずは、今回設計された住宅についてのコンセプトを教えてください。

秋田に生まれ育った私たち自身の中には “秋田スギは古くさい和風の材料”のイメージが強くあるため、特に働き盛りの盛年期の家族で、仕事に、育児に、趣味にと毎日多くの時間を費やし、その上でもっと暮らしの潤いを求めている皆さんに、”秋田スギ“や珪藻土などの地場産材を現代の生活様式にとけ込める新しい感覚の素材としての利活用と、住む人たちが癒され、安心して住み続けられる終の棲家としての住まいを提案します。

 
この住宅の特徴を教えてください。

外観はシンプルで飽きの来ないデザインとし、使用材料は自然素材をふんだんに使い、特に1階部分の壁はスギいた張りとし、町並みの調和を心掛けたほか、家族が自分たちでメンテナンスが可能な植物性塗料を使用している。
内部空間は、4人家族が生活する上で必要最低限の空間計画をしたが、日々の生活において開放感やリラックスできる雰囲気を得られるために、木材と珪藻土の使用範囲を等分に配し、落ち着きのある使用にしている。
更に、2階子供室は成長やライフステージに合わせて間仕切りができるよう、収納を使用し可変性を持たせた。また、病気やケガ、加齢に伴い、自宅での生活に不安を感じないよう、室内の出入りは段差を無くし、出入口開口部は全て引き戸とし、照明スイッチや機器操作パネルの位置や高さなどについても使い勝手を考慮しています。

 

秋田スギの良さを引き出した点、苦労された点などありますか?

このモデル住宅では秋田スギを床に使用していますが、厚さ40mmとし、床組に根太を使用せず、特に1階の天井をできるだけ高く確保するために、2階床板を表す方法とした。そのため、断熱性能を引き出すとともに床暖房と違い、自然の恵みで暖められた無垢板の暖かさで、足下の温かさも見学者の方から、実感して貰えたと思います。 秋田スギは柔らかい反面、傷もつきやすいのですが、今回の提案である家族が集まる場所にふんだんに秋田スギを使用し、材料と共生する心地よさと、難しさ、そしていたわる気持ちを育んで頂くために採用しました。

 
秋田スギのメンテナンスなどに注意する点はありますか?

このモデル住宅に使っている秋田スギにとっては、外壁や床へのメンテナンスが特に必要です。Q1でもお答えしましたが、外壁は3〜5年を目安にして植物性塗料(市販のもで取り寄せ可能)を塗るとよいでしょう。また、床は年1回程度、植物性塗料のワックスがけをお勧めします。いずれも植物性の自然素材なので、職人に依頼しなくても家族でお手入れが気軽に安全にできることは、なにより“家”を長持ちさせることにつながります。

 
これから住宅を建てる方へのヒントや重要なポイントなどがありましたら、教えて頂けますか?

“住まいづくり“において大切にしてもらいたいことは、自分たち家族がどんな生活を求めているか、設計プランを考える前に、十分話し合ってイメージをつくる ことから初めてもらいたいと言うことです。それがまとまったら、共に“住まい”を造り上げるパートナーとして、設計者や施工業者を選び、家族の動線を意識した間取りや、四季を通じて快適な室内温度環境を得られる設備、落ち着きのある癒しの自然素材えらびetc…、十分に相談をして実現して下さい。
“住まいづくり”は本来じっくり時間をかけて造り上げるものです。余裕をもって将来を見据え、だれもが安心して住み続けられる住まいの実現は、秋田県の多重様な社会資源になるのです。
また、コスト面では、水回りの場所をできる限りまとめることが有効とされていますが、住まいの規模によっては寝室の近くに配置することは、加齢に伴う身体機能の低下を考慮すると、各階に1ヶ所は確保することはこれからのスタンダードになっていくことでしょう。

 
秋田スギの魅力について教えてください。

秋田スギの特徴は香りと手触り、そして色合いです。これまでは主に和室の柱や天井板としてのイメージが強かったと思います。それが、家族団らんを過ごすLDKでも、真壁で珪藻土塗りとした室内イメージは、決して野暮ではなく、あえて言うなら素朴さが落ち着きと癒しを与えてくれるこことを体感して頂けると思います。それは、ただ単に、イメージだけではなく“秋田スギ”やタタミの香りや、本物の柔らかさや薄桃色の色合いが融合して織りなされる物です。
秋田スギを取り入れ、家族がイキイキとした生活を送れるよう、また、自然素材のよさと、自然エネルギーを大切に、共生していく“家づくり”を、これからも続けていきたいと思います。

 
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魅力ある秋田スギ活用住宅の会